素麺への愛が重すぎる

素麺への愛が重すぎる故に、淡々と素麺をレポートするブログ。(素麺の評価は完全に個人の好みによるもので、客観的評価ではありません)

【素麺品評会】南関素麺(奈良原製麺所)

好きすぎて、あんまり人に教えたくない素麺があります。
熊本名産、南関素麺。
現代ではものすごくめずらしくなった「作業工程がほぼ手作業の手延べそうめん」の産地です。

実は「手延べそうめん」といっても作業工程の一部が機械化されていることが多く、本当に最初から最後まで手作業でやっている、という製麺所はほとんどありません。
そんななか、南関素麺は生地をつくる工程から生地を延ばす工程、天日乾燥まで、昔ながらの手打ち・手延べの製法を続けている製麺所が残っています。

そのなかでも個人的にお気に入りの奈良原製麺所の素麺を紹介します。 

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【細さ】★★★★★
繊細で極細。麺の一本一本が際立っていて凛とした風情です。
素麺の両端が切られておらず、8の字にぐるぐる巻かれているのが特徴です。
完全な「手延べ素麺」でこの細さ、均一さ、そして長さを実現していることには嘆息するしかありません。

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【茹で心地】
そのまま茹でるとすごい長さになるので、下図の赤線の部分で半分に切ってから湯に入れます。

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独特のひねたような香りがあるので、たっぷりのお湯でしっかり茹でるべきです。
麺が細いので茹で時間の見極めはシビア。一瞬も目を離せません。
芯まで透き通った瞬間に、いさぎよくお湯から上げましょう。
茹で上がりを流水でもみ洗いすると、シャリシャリとした手触りで、一本一本の麺の手ごたえがしっかりあります。
「もうちょっとかな〜」なんて様子を見ていると、茹ですぎてこのシャリシャリ感を逃してしまいます。

とはいえ、芯がしっかりしてるので少々長めに茹でてしまってもぐだぐだにはなりませんのでご安心を。

【お味】★★★★★
シャリっとしたキレのある舌触りと涼やかさは他に類を見ません。
細さ、透明感、コシ、どれをとっても一級品です。

この一本一本の存在感、透明感…惚れ惚れします。
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一般的な素麺に比べると個性が強く、麺に独特の香りがあるので、初めて食べると少しびっくりするかもしれません。
「素麺なんて味がないじゃない」という方にこそ食べさせたいけど、もったいないので毎年一人で一箱食べちゃう、そんな素麺です。

【オススメの食べ方】
いろいろ具材を入れずに、シンプルにつゆだけで食したい麺です。
麺つゆは濃い目の味のほうが合い、スゴだれつゆとの相性もばっちりです。 

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ちなみに、この素麺に関しては米酢より黒酢のほうがあいます。

本醸造の「鹿児島の黒酢」が、酸味とまろみのバランスがよくてオススメです。

坂元醸造 鹿児島の黒酢 500ml

坂元醸造 鹿児島の黒酢 500ml

 

 

あおさを入れると完璧な美味しさなので、こちらも試してみてください。 

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芯がしっかりしているので、煮麺やソーミンチャンプルーなど火が入る調理に使っても麺の歯応えが残って美味しいと思います。
ただ、もったいないので私はまだ試したことがありません。
 

【その他】
しおり拝見。

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 南関は藩政時代関所があったことから「南の関」と称し、街道筋にあたり宿場町として栄え、素麺作りが盛んであった。
 始まりは今より約二百五十年前と伝えられ、細く、白く、歯ごたえと品質の良さが買われて参勤交代の折、細川藩の献上品として用いられていたといいます。
 大正の頃までは町の両側に戸ごと掛け並べてあったさまはよき風物詩であり詩人、北原白秋は次のとおり歌っています。
 掛け並めて 玉名少女がこきのばす 翁素麺は長きしら糸

とあります。

調理方法の欄には 「夏は冷やし素麺にしてわさび、生姜醤油、砂糖酢等、冬は卵とじかけ肉類等をあしらい、または下地をかけて食べると大変美味しく頂けます。」とあり、やはり濃いめの味、パンチの効いた味に合わせるほうが美味しいようです。

【基本情報】
産地:南関素麺
品名:特になし(おそらく一種類しかない)
原材料:詳細不明
製造者:奈良原製麺所
住所:熊本県玉名郡南関町小原1418-1
TEL:0968-53-0551
(ネット販売はされていないので購入希望の方はお電話等でお問い合わせください)